第28回山形県作業療法学会を終えて

第28回山形県作業療法学会
学会長　佐藤さとみ

この度の第28回山形県作業療法学会は、COVID-19の収束への見通しが立たない中、やむを得ずWEBにて開催される運びとなりました。5月8日（土）にオンライン開催、そして5月15日から5月30日までのオンデマンド配信を無事に終えることができました。本学会開催にあたり、山形県、山形市をはじめとする4市、山形市周辺の6町、並びに多くの関係団体の皆様よりご後援を賜り、また、山形県、山形市、山形県理学療法士会、山形県言語聴覚士会より、ご祝辞を頂戴いたしました。心より感謝申し上げます。

県士会として初のオンライン学会を手作りで開催するという未知への挑戦をしてまいりました。何度も会議を重ね、また、予行演習を重ねてまいりました。松木会長をはじめ、理事の皆様、運営部の皆様にも、多大なご協力をいただきました。結果、手作りの温もりのあるオンライン学会が出来上がったものと安堵しております。対面で集まれない現状下、県内のOT233名及び約100名の学生さんが、オンラインで繫がることができ、大変有意義な時間を持つことができました。演題発表の28名の方々、座長の方々にも、色々ご不便をおかけしましたが、活発な質疑応答の下、発表を終えることができました。賛助会員様からは、抄録集、及びオンラインでの動画の提供などの機器紹介に関してご協力をいただきました。

今学会は、『人は作業で生かされている』をテーマに開催いたしました。日々の人間としての営みも、手足や身体を使うこと以外の五感を使った営みも、すべてが作業であり活動です。その営みが、アイデンティティをもたらし、生きているという実感に繫がるものだとしたら、「作業」＝「人」ということであり、それを支えることを、「わざ（業・技）」とする私たちの職業は、人の根幹に関わる非常に意味深いものといえるでしょう。今学会は、私たちの「わざ（業・技）」を、人を生かすものであり、希望への架け橋、虹のようなものとして進めてまいりました。

特別講演でお招きしました石川佐智子先生は、今回のテーマである『人は作業で生かされている』を対象者に実践しておられる方で「人は作業で生かされている。17年の実践からーいろいろありました…っと…過去形ではなく現在進行形―」というテーマで、作業療法の視点から、多岐に渡る事業展開の現場の様子を、写真を通して大変わかりやすく講演いただきました。対象者の方々のアイデンティティを支える理念、包容力と温もりが伝わってくる内容に多くの質問が寄せられました。教育講演では、高次脳機能分野で大変著名な平山和美先生から「脳血管疾患の画像所見と高次脳機能障害との対応」について、理解しやすい展開でお話をしていただきました。自分たちが臨床で経験しているケースについて等、幅広い分野から多くの質問が寄せられました。

今後、急速なIT化に伴い、この学会の在り方も変化してくるものと思われます。今学会が記念すべき第1歩になりましたら幸いです。

最後に、世の中は今、COVID-19というどしゃぶりの雨に巻き込まれております。やがて陽がさし、虹が希望の架け橋になってくれることを祈っております。